静岡県熱海市の老舗リゾート「ホテルニューアカオ」は、昭和レトロ感満載のイベントで連日にぎわう。台風被害、新型コロナ、土石流災害――。立て続けに起きた試練でいったんは営業を終えたが、米投資ファンドの傘下に入り再出発した。
総支配人の礒崎慎さん(49)は神奈川県小田原市出身。ホテル業界に興味があり、就職情報誌で偶然見つけたのがアカオだった。相模湾を望む断崖絶壁に建ち、ビーチやガーデンと一体となった「ホテル&リゾート」が魅力的で、1998年に新卒で入社した。レストラン、ダンスホール、ブライダル、人事などさまざまな部署でキャリアを積んだ。
苦難の始まりは2018年7月だった。台風による高波で、扇形をした巨大レストランの窓ガラスが割れ、宿泊客らがけがをした。ホテルの名物だったため、窓の壊れた部分を板で覆い、わずか10日間で復旧させた。7倍の強度の特注ガラスをはめて再び海が望めるようになるまで約1年かかった。
続くコロナ禍、宿泊客はほと…